私のNISAは今、評価益+145万円(+30.1%)。SNSを見ても「含み益がすごい」という投稿ばかりで、いい時代です。
でも、こういう時期にあえて水を差すデータを持ってきました。「長期投資」のはずのNISAで、途中退場する人が増えているんです。そして退場のほとんどは、暴落の日に起きます。だからこそ、相場がいい今のうちに「避難訓練」をしておきませんか、という記事です。
この記事でわかること
- 「長期投資」のはずが、投資信託の平均保有期間はわずか2.3年という現実
- NISAの売却経験者が1年でほぼ倍増——なぜ途中退場してしまうのか
- 相場が好調な今こそやるべき「暴落の避難訓練」チェックリスト4つ
- +30%の含み益がある私が、暴落の日のために決めていること
データ①:平均保有期間は「20年」ではなく「2.3年」
【図1】制度が想定する期間と、現実の保有期間
出典:QUICK資産運用研究所(2024年末時点、つみたて投資枠対象ファンド2.3年・成長投資枠対象2.2年)をもとに作成
QUICK資産運用研究所によると、つみたて投資枠対象ファンドの平均保有期間は約2.3年(2024年末時点)。新NISA効果で3年連続長期化してこの数字です。複利の魔法は15年、20年と続けて初めて本領を発揮するのに、現実の平均はその1割ちょっとで降りている。「長期投資をしているつもり」と「している」の間には、大きな溝があります。
データ②:売却経験者は1年でほぼ倍増した
【図2】「一度も売却していない人」は1年でこれだけ減った
→ 裏を返せば、売却経験者は約17%→約36%へほぼ倍増。2024年は購入26兆円に対し13.7兆円が売却された
出典:日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査」(2025年・2026年)、日本経済新聞をもとに作成
NISA利用実態の記事では「6割超が一度も売却していない」と書きましたが、時系列で見ると景色が変わります。未売却者は1年で83.2%→64.5%へ減少。相場が好調で利益が出ているからこそ、売りたくなる——今はそういう局面です。
なぜ途中退場してしまうのか:3つの理由
① 暴落の恐怖——「もっと下がる前に」
2024年8月5日、日経平均は1日で4,451円安(−12.4%)という歴史的急落を記録し、始まったばかりの新NISA民を直撃しました。SNSが「やっぱり投資は危ない」で埋まり、底値で売った人がその後の回復を取り逃がす——毎回同じことが繰り返されます。2026年3〜4月の急落でも同じでした。
② 利益が出ると確定したくなる——「今売れば勝ち逃げ」
実は退場は恐怖だけでは起きません。+30%の含み益は「今のうちに確定したい」という強烈な誘惑でもあります。でも売った後に相場が上がり続けると、再エントリーのタイミングを永遠に探すことになる。私自身、利確すべきか迷ったときの判断基準を記事にするくらい悩んだことがあります。
③ そもそも「余裕資金」でやっていなかった
一番切ないのがこれ。生活防衛資金なしで投資を始めると、急な出費や収入減のたびに相場と関係ない理由で売らされます。暴落と家計のピンチはしばしば同時に来る(不景気だから)ので、ダメージが倍になります。
相場がいい今こそ「暴落の避難訓練」をやる
防災訓練を地震の最中にやる人はいません。投資も同じで、リスク許容度の点検は含み益がある平時にしかできない。チェックは4つだけです。
【図3】暴落の避難訓練チェックリスト(相場がいい今やる)
特に✓1は今日5分でできます。私もやってみました。評価額から−30%なら、いまの含み益145万円がほぼ消えて元本近くまで戻る計算。「10年待てば回復してきたのが過去の歴史。うちは15年以上使わないお金だから待てる」——そう書き出して初めて、「大丈夫」が感覚ではなく根拠になります。
ヒロの実体験:売らずに済んでいるのは「意志」ではなく「準備」
実績まとめの通り、わが家は2026年3〜4月の急落でも一切売りませんでした。でもそれは私のメンタルが強いからではありません。生活防衛資金が現金であり、5年以内に使うお金(こどもNISA待機資金など)を投資に入れず、「売らない」というルールを紙に書いてあったから。準備があると、暴落の日にやることが「何もしない」だけになるんです。
逆に言うと、上のチェックリストに1つでも「できていない」があるなら、今の含み益は実力ではなく運かもしれません。次の暴落が来る前に、埋めておきましょう。
これから始める人へ:わが家が使っている組み合わせ
ここまで読んで「怖くなった」なら、この記事は半分成功です。でも本当のゴールは「準備した上で始める・続ける」こと。避難訓練のチェックリストを埋めたら、あとは仕組みを作るだけです。参考までに、わが家が実際に使っている組み合わせを紹介します。
証券口座:SBI証券
わが家のNISA口座はSBI証券です。理由は3つ。①信託報酬の低いインデックスファンド(eMAXIS Slimシリーズ等)が揃っている——長期投資ではコストの差がそのまま複利の差になります。②クレカ積立でポイントが貯まる——どうせ毎月積み立てるお金にポイントが付く。③積立設定が一度で終わる——設定後は本当に何もすることがなく、この「何もしなくていい仕組み」こそ途中退場を防ぐ最大の防御です。
銀行の窓口で開設するのとの違いはこちらの比較記事で、スマホでの口座開設手順は積立NISAの始め方の記事で詳しく解説しています。
積立用カード:三井住友カード ゴールド(NL)
SBI証券のクレカ積立に使っているのが三井住友カード ゴールド(NL)です。年間100万円の利用で翌年以降の年会費が永年無料になる、いわゆる「100万円修行」ありのカードですが、わが家は固定費の支払いをまとめて達成しました。積立のたびにポイントが貯まり、貯まったVポイントは実績まとめに書いている通り、そのままポイント投資でNISAの買付に回しています。ポイントで投資信託が買える=現金を1円も足さずに複利の雪だるまが少し大きくなる、地味に効く仕組みです。
年会費の条件や特典の詳細はゴールドNLのレビュー記事にまとめています。
念のため:この組み合わせは「わが家にとって」の最適解です。大事なのはどの証券会社かよりも、低コストのインデックスファンドを、自動で、余裕資金で積み立てる仕組みを作ること。それができるなら、他のネット証券でも十分です。
まとめ:退場しない人が、最後に複利を受け取る
- 投信の平均保有期間は約2.3年。「長期投資のつもり」の多くが途中退場している
- NISAの売却経験者は1年でほぼ倍増。好調な相場は「恐怖」ではなく「利確の誘惑」でも人を降ろす
- 退場の3大理由は暴落の恐怖・利確の誘惑・余裕資金じゃなかった
- 対策は平時の避難訓練:−30%の金額を直視/生活防衛資金/5年以内のお金を入れない/ルールを紙に書く
複利のシミュレーションが示す2,497万円は、「30年降りなかった人」だけが受け取れる数字です。相場がいい今日、5分だけ暴落の日のことを考えておく。それが未来の自分への一番安い保険だと思います。そして準備が済んだら、あとは仕組みに任せて淡々と。わが家も明日からまた、いつも通りの積立です。
参考文献
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。過去の相場回復は将来を保証しません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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