わが家に子どもが生まれて、お金の景色が変わりました。それまで「なんとなく貯金」だったのが、いまは「貯められる時期」と「出ていく時期」が人生のカレンダーにあらかじめ書き込まれていることがはっきり見えます。
この記事では、その「貯め時」と「かかり時」を最新の統計データの数字で整理します。結論はシンプルで、かかり時は避けられない。だから貯め時に「手取りの8〜9割で暮らす」を仕組みにしておく——これだけです。
この記事でわかること
- 人生の「貯め時」は3回しかない——タイムラインで見るお金の流れ
- 育休で2馬力→1馬力になると収入はいくら減るか(手取り約8割の仕組み)
- 教育費の実額——オール公立 約830万円 vs オール私立 約2,270万円(最新の文科省調査)
- かかり時に赤字にならないための「手取り8〜9割で暮らす」ルール
人生の「貯め時」は3回しかない
【図1】人生の「貯め時」と「かかり時」タイムライン
ポイントは、貯め時とかかり時は選べないということ。子どもの成長は待ってくれないし、受験の年は動かせません。選べるのは「貯め時にどれだけ仕組みを作れるか」だけです。
かかり時①:出産・育休で「2馬力」が「1馬力+給付金」になる
わが家がいままさにここです。育児休業中は給料の代わりに育児休業給付金が出ますが、支給率は最初の180日で賃金の67%。税金・社会保険料がかからないため手取りベースで約8割、181日目からは50%(手取り約6割)に下がります。2025年4月からは、夫婦で育休を取るなどの条件を満たすと最大28日間は実質手取り10割になる「出生後休業支援給付金」も始まりました。
それでも見落としがちなのがボーナス。給付金は月給ベースなので、賞与が減る・出ない分、世帯年収の落ち込みは「2割減」よりずっと大きくなりがちです。しかもベビー用品・おむつ・ミルクと支出は増える。収入減と支出増が同時に来るのが、かかり時①の正体です。
かかり時②:教育費の山——「進路」で830万円が2,270万円になる
【図2】教育費の年額——公立と私立でこれだけ違う
大学は国公立4年で約250万円、私立文系で約420万円、私立理系なら550万円超。幼稚園から大学まで合計すると、オール公立 約830万円/オール私立 約2,270万円(自宅通学の場合。下宿ならさらに数百万円上乗せ)
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月公表)、文部科学省の大学授業料統計等をもとに作成
最新の文科省調査(令和5年度)で衝撃なのは私立小学校の年167万円(公立の4.8倍)。そして多くの家庭にとって現実的な山は高校〜大学です。私立高校+私立理系大学なら、この7年間だけで約850万円。月割りにすると約10万円が7年間、家計から出続ける計算になります。
「うちは公立だから大丈夫」と思った方も、塾・習い事は学習費調査の「学校外活動費」に含まれており、公立中学でも年間の3〜4割は塾代などが占めます。進路は子どもが選ぶもの。親にできるのは、どちらを選ばれても破綻しない準備だけです。
どこに住むかでも変わる:東京都とさいたま市、補助の差
実は「かかり時」の重さは、どこに住んでいるかでも大きく変わります。子育て支援の地域格差は年々開いていて、隣同士の東京都とさいたま市(埼玉県)で比べても差は歴然です。
【図4】子育て支援の比較:東京都 vs さいたま市(2026年時点)
| 東京都 | さいたま市 | |
|---|---|---|
| 現金給付 | 018サポート:0〜18歳に月5,000円(所得制限なし・18年で最大108万円) | 国の児童手当のみ(市独自の恒常的な上乗せなし) |
| 0〜2歳の保育料(第1子) | 2025年9月から所得制限なしで無償化 | 世帯所得に応じて負担(無償は住民税非課税世帯等。第3子以降は市独自で無償) |
| 学校給食費 | 23区はおおむね小中とも無償 | 2026年4月から小学校は無償化。中学校は物価高支援のみで負担が残る |
| 高校授業料 | 実質無償(都の私立助成 年48万円台) | 2026年度から国の無償化拡大で公立実質0円・私立最大45.7万円支援——ここの地域差はほぼ解消 |
出典:東京都福祉局、さいたま市公式サイト、文部科学省の公表情報をもとに作成(2026年7月時点)
特に大きいのが乳幼児期です。018サポート(18年で最大108万円)+0〜2歳第1子の保育料無償化を合わせると、同じ子育てでも東京都在住なら百数十万〜200万円規模の負担が軽くなる計算もあり得ます。一方、高校は2026年度から国の無償化が全国に広がり、差が縮まった領域もある。制度は毎年動くので、「自分の自治体で今なにが受けられるか」を年1回棚卸しするのがおすすめです。
ただし念のため——「じゃあ東京に住めば得」と単純にはなりません。東京の家賃の記事で書いた通り、家賃の差が補助の差を上回ることも普通にあります。住居費と子育て支援はセットで、トータルの固定費として比べるのが正解です。
最悪の組み合わせ:かかり時②に住宅ローンと車のローンが重なると
ここに3大支出の記事で書いた住宅ローン(月10万円前後)と車の維持費(持っているだけで年約50万円)が重なるとどうなるか。私立高校の学費 月8.8万円+住宅ローン10万円+車 月4万円で、手取り35万円世帯なら固定費だけで65%が消えます。食費・光熱費・通信費を足せば、貯蓄どころか赤字転落は簡単に起きる。
実際、J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年)では、金融資産を保有していない世帯が二人以上世帯で21.6%。約5世帯に1世帯は貯蓄ゼロです。これは「だらしない人」の話ではなく、かかり時の設計を間違えると誰でもそうなるという話だと思っています。
対策:「手取りの8〜9割で暮らす」をルールにする
では、どう備えるか。わが家のルールは「生活費は手取りの8〜9割に収める=貯蓄率10〜20%を死守する」です。
【図3】「手取りの8〜9割で暮らす」と10年でこうなる
※貯蓄だけの単純計算。NISAで年5%運用できれば1〜3割増える計算に。貯め時①②の10〜15年でオール公立分の教育費は作れる
大事なのは順番です。①貯め時に固定費を上げない——収入が増えても家賃・車・保険のグレードを上げない(ライフスタイル・インフレの回避)。②先取りで自動化する——給料日に貯蓄・NISA積立が先に引かれる設定にして、残りで暮らす。③かかり時の赤字は許容する——受験の年に貯蓄率がゼロやマイナスになっても、貯め時の貯金が吸収してくれる。赤字の月に自分を責める必要はありません。設計通りなら、それは「予定された赤字」です。
そして、こうして浮いた手取りの1〜2割は、ただ預金に置くのではなくNISAで長期投資に回すのがわが家の型です。かかり時まで10年以上あるお金は複利に働いてもらう——これで図3の数字がさらに1〜3割伸びます。これから始める方は積立NISAの始め方(SBI証券の口座開設)から、続けるとどうなるかは毎月更新の運用実績まとめと複利のシミュレーション記事をどうぞ。
ヒロの実体験:貯め時①の「出口」に立って決めたこと
わが家は2025年11月に第一子が生まれ、まさに貯め時①が終わったところです。だから今年の夏ボーナスは投資6割に抑えて現金3割を確保しましたし、教育費の本丸である大学資金は、使うまで15年以上ある今のうちからNISAでコツコツ積み立てています。児童手当は全額オルカンへ、2027年開始のこどもNISAの待機資金も現金で準備中。
「貯め時に仕組みを作っておけば、かかり時は仕組みが守ってくれる」——子どもの寝顔を見ながら、これを信じて淡々と続けています。
まとめ:かかり時は選べない。貯め時の過ごし方は選べる
- 人生の貯め時は3回だけ:子どもが生まれる前/小学生の間/独立後。かかり時とセットで訪れる
- 育休中は手取り約8割(181日以降は約6割)。ボーナス減も含めると世帯収入の落ち込みは想像より大きい
- 教育費はオール公立 約830万円/オール私立 約2,270万円。山は高校〜大学の7年間
- 教育費とローンが重なると赤字は簡単に起きる。貯蓄ゼロ世帯は21.6%——他人事ではない
- 対策は「手取りの8〜9割で暮らす」を貯め時のうちに仕組み化。かかり時の赤字は「予定された赤字」として許容する
今日できる一歩は、自分がいまタイムラインのどこにいるかを確認して、貯蓄率を1つの数字で把握すること。手取りの何%で暮らせているか——それが未来のかかり時への準備度そのものです。
参考文献
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月公表)
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 日本政策金融公庫「教育資金はいくら必要?」
- マネーフォワード「育児休業給付と出生後休業支援給付の仕組み」
【免責事項】本記事は情報提供を目的としています。教育費・給付金の金額は調査時点の平均値・制度であり、地域や個別の状況により異なります。投資には元本割れのリスクがあります。最終判断はご自身の責任において行ってください。

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