【2026年】家賃の値上げは拒否できる?インフレ時代の借地借家法と、定期借家・普通借家の違い

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「更新のタイミングで、大家さんから家賃の値上げを言われた……」——インフレの波が、ついに家賃にも及んできました。

東京23区の平均家賃は、いまや一人暮らし(30㎡以下)で約11万円、ファミリー向け(50〜70㎡)で約25万円(2026年)。ここから家賃が1割上がれば、一人暮らしで月1万円超・年13万円、ファミリーなら月2.5万円・年30万円もの負担増です。ただでさえ物価高で家計が苦しいのに、いちばん大きな固定費の家賃まで上がるのは……正直、かなり辛いですよね。

でも、知っておいてほしいことがあります。大家さんから値上げを”通知”されただけでは、家賃は自動的には上がりません。日本の借地借家法は、住んでいる人(借主)を手厚く守るつくりになっているからです。この記事では、家賃上昇の実態と、値上げを求められたときの正しい対応、そして見落としがちな定期借家と普通借家の決定的な違いを整理します。

📝 この記事でわかること

  • インフレで家賃はどれくらい上がっているか
  • 値上げ通知が来ても、すぐ払わなくていい理由(32条)
  • 普通借家と定期借家の決定的な違い
  • 値上げを言われたときの対応5ステップ

まず実態:家賃は本当に上がっている

気のせいではありません。データがはっきり示しています。

【図1】家賃はどれくらい上がっている?(2026年)

東京23区ほか 平均家賃・前年比(目安)

東京23区:約111,900円 (前年比+約13%)
東京23区ファミリー(50〜70㎡):約249,600円 (+約10%)
神奈川:約78,200円 (+約11%)
千葉:約74,500円/埼玉:約67,500円
エリアによっては2020年から6割超上昇したところも

2026年3月、全国13エリア全てで前年比プラス(調査開始以来はじめて)

2026年3月には、全国13エリアのすべてで家賃が前年同月を上回りました。これは2015年の調査開始以来はじめてのこと。首都圏のシングル向き平均家賃は東京23区で約11.2万円(前年比+13%)まで上がり、エリアによっては2020年から6割超上昇したところもあります。40年ぶりのインフレが、いよいよ賃料にも波及してきたのです。

だからこそ、「値上げを言われたらどうするか」を知っておく価値があります。

結論:値上げ通知が来ても、すぐに払う必要はない

ここが最重要ポイントです。借地借家法第32条では、家賃が近隣相場や税負担・物価などから見て「不相当」になったとき、大家・借主のどちらも将来に向けて増額・減額を請求できます。ただし——請求は”お願い”であって、通知しただけで家賃が上がるわけではありません

大家さんと借主の協議が調わないあいだは、借主は「自分が相当と認める額」(多くの場合、これまでの家賃)を払い続ければ足りると法律で定められています。つまり、納得できない値上げに、あわてて同意したりサインしたりする必要はないのです。

【図2】値上げを求められたときの流れ

① 値上げの通知:あくまで”請求”。これだけでは上がらない
② 協議:合意しなければ従来どおり。「相当と認める額」を払えばOK
③ 調停:話がつかなければ簡易裁判所の調停へ(まず調停が原則)
④ 訴訟・確定:増額が確定したら、不足分を年1割の利息付きで精算

通知=即値上げ、ではない。あわてて同意しない

最終的に「値上げは正当だ」と裁判で確定した場合は、それまでの不足分を年1割の利息を付けて支払うことになります(第32条)。とはいえ、そこまで争いになるケースは多くありません。まずは落ち着いて協議するのが基本です。

注意:普通借家か「定期借家」かで大きく変わる

ただし、すべての契約でこの借主保護が同じように効くわけではありません。カギになるのが、あなたの契約が「普通借家」か「定期借家」かです。

【図3】普通借家 vs 定期借家

どちらの契約かで、借主の守られ方が変わります

項目普通借家定期借家
更新あり(住み続けやすい)なし(満了で終了・再契約は合意で)
大家からの終了正当事由が必要期間満了で原則終了
賃料の増減請求原則あり(32条の保護)特約で排除できる(38条)
借主の守られ方手厚い契約書・特約しだい

※まずは自分の契約書で「普通/定期」と賃料改定の特約を確認しましょう。

普通借家契約は、借主がとても強く守られます。借主が望めば基本的に更新でき、大家さんから更新を断る・追い出すには「正当事由」が必要。しかも「家賃を上げない特約」は有効ですが、逆に「下げない特約」は無効——借主に不利な取り決めは通りにくいのです。

一方、定期借家契約は、契約期間が満了すると原則そこで終了(更新なし・再契約は合意があれば可)。さらに借地借家法第38条により、賃料の増減請求権を排除する特約(賃料はこう改定する、という取り決め)が有効になります。つまり定期借家では、契約書に書かれた条件が優先され、32条の保護が及ばない場合があるのです。

だから、値上げを言われたらまず自分の契約書を確認。「普通借家」なら強く交渉できますし、「定期借家」なら特約の内容次第、と対応が変わります。

実際にどう動く?——あわてず5ステップ

【図4】値上げを言われたら——あわてず5ステップ

① 契約書を確認(普通/定期・賃料改定の特約)
② 近隣の相場を調べる(本当に”不相当”か)
③ 感情的にならず協議
④ 納得できなければ相当額を払い続ける(普通借家)
⑤ こじれたら専門家へ(無料法律相談・消費生活センター・弁護士)

知識は、そのまま「守れるお金」になる

① 契約書を確認:普通借家か定期借家か、賃料改定の特約はあるか。② 近隣の相場を調べる:本当に「不相当」なのか、同じような物件の家賃をチェック。③ 感情的にならず協議:大家さんも生活があります。まずは冷静に話し合いを。④ 納得できなければ相当額を払い続ける:合意するまでは、これまでの家賃を払っておけばOK(普通借家の場合)。⑤ こじれたら専門家へ:自治体の無料法律相談、消費生活センター、弁護士などに相談を。

誤解しないでほしいのは、「なんでもかんでも拒否しろ」という話ではないこと。長くお世話になっている大家さんなら気持ちよく応じたいこともありますし、内容に納得して値上げを受け入れるのも、立派な判断です。大事なのは、“納得して払う”のか、”知らずに払う”のか——この差はとても大きい。仕組みを知ったうえで、自分が納得できる形かどうかで決めてください。日本は借主保護が手厚い国です。その権利を、知らないまま手放す必要はありません。

まとめ

  • インフレで家賃は上昇中(2026年3月、全国13エリア全てで前年比プラス・調査開始以来初)
  • 値上げを通知されても、自動では上がらない。協議中は「相当と認める額」を払えば足りる(借地借家法32条)
  • 日本の借地借家法は借主保護が手厚い(普通借家は更新・正当事由で強く守られる)
  • ただし定期借家は例外あり。賃料改定の特約が優先されることも(38条)
  • まず契約書と近隣相場を確認し、あわてず協議。こじれたら専門家へ

家賃は家計最大の固定費。知識は、そのまま「守れるお金」になります。浮いた分・守った分は、将来のために積み立てていきましょう(→ まずは家計の見える化から固定費の見直しはカーシェアも)。

参考文献・出典

  • 借地借家法 第32条(賃料増減請求権)・第38条(定期建物賃貸借) e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/
  • 旭化成ホームズ「家賃動向マンスリーレポート(2026年)」 https://www.asahi-kasei.co.jp/maison/
  • 各種 定期借家・普通借家の解説(CBRE/弁護士事務所ほか)

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。契約内容や状況により結論は変わります。実際のトラブル対応は、契約書を確認のうえ、弁護士・自治体の無料相談・消費生活センターなど専門機関にご相談ください。家賃水準・上昇率は各調査時点の目安です。

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