先週金曜日(6月5日、米国時間)、スマホの通知を見て「えっ」となった人も多いんじゃないかな。
S&P500が前日比2.64%下落、週次でも2.59%の急落。オルカン(全世界株式)も連動して下がった。つい数日前まで史上最高値を更新し続けていたのに、一転して厳しい値動きになった。
こういうとき、SNSには「暴落の始まり」「積立NISAは危ない」という声が一気に増える。だからこそ、まず事実を整理したい。何が起きたのかを正確に知ることが、冷静でいるための一番の近道だと思うから。
先週金曜日、S&P500に何が起きたのか?
6月5日(米国時間)のS&P500の終値は7383.74で、前日比2.64%安。週次でも2.59%の下落となり、約8か月ぶりの大きな下落率だった。
少し前の状況を振り返ると、S&P500は5月下旬から9週続伸しており、6月2日には7609.78という史上最高値をつけていた。その翌々日に急落したわけで、高いところから一気に落ちてきた印象はどうしても強くなる。
ナスダック100指数も約5%近く下落し、2025年4月以来の大幅安。AI銘柄をはじめとした大型ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」もそろって下落した。
| 銘柄 | 6月5日の下落率 | 週次下落率 |
|---|---|---|
| テスラ(TSLA) | ▲6.56% | ▲10.28% |
| NVIDIA(NVDA) | ▲6.20% | ▲8%台 |
| メタ(META) | ▲5.51% | ▲6%台 |
市場の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数が前日比39.68%急騰し、21.51まで上昇。VIXが20を超えると投資家の不安心理が強まっているサインで、約2か月ぶりの水準だった。
なぜ下落したのか?3つの原因
①5月雇用統計が予想の約2倍の強さだった
この日最大の材料となったのが、5月の米雇用統計の発表だった。
非農業部門の就業者数は前月比+17.2万人。市場予想の+8.5万人の約2倍という強い結果。3月・4月のデータも合計9.3万人分上方修正され、直近3か月の平均では月間18.8万人ペースで雇用が増えている。
「雇用が強い→給料が増える→モノへの需要が増える→物価が上がりやすい」という連鎖が市場に意識された。
②FRBの「年内利上げ」が現実味を帯びてきた
雇用が強い→物価が上がりやすい→FRBが利上げに踏み切るかもしれない、という流れが一気に意識された。
金融市場での12月FOMCの見込み政策金利は3.878%で、現状の3.625%より0.253%高い水準。年内利上げ確率は100%超と見積もられる状況になった。
金利が上がると債券の利回りが上がり、「リスクを取ってまで株を買わなくてもいい」という判断が広がる。特に将来の成長を先取りして高く評価されているAI・ハイテク株は、金利上昇に敏感に反応する。
③中東情勢と原油高がインフレを後押し
米国とイランの和平協議が停滞しており、原油価格が高止まりしている。WTI原油は5日連続で1バレル90ドルを超え(6月5日終値90.54ドル)、このコストがインフレを後押しする構図だ。「雇用が強い」「原油が高い」「物価が上がる」という3つが重なって、FRBが動かざるを得ないという連想が広がった。
それでも「割高ではない」という事実
ここで冷静になれるデータを見ておきたい。
急落後のS&P500の予想PER(株価収益率)は20.9倍。AIブームが本格化した2023年以降の平均値21.2倍を下回っていて、バブル的な割高感があるとは言えない水準だ。そして雇用統計の強さ自体は「米国の経済が底堅い」という事実の表れでもある。景気後退の兆候が出ているわけではなく、「強すぎる経済が金融引き締めを招く」という、豊かさの副作用に近い構図といえる。
また、次の注目点として6月10日に5月のCPI(消費者物価指数)の発表が控えている。ここで物価の伸びが落ち着いていれば、利上げ懸念が和らぐ可能性もある。
過去の暴落から学べること。S&P500は何度も立ち直ってきた
「今回はもうダメなんじゃないか」と思いたくなる気持ちはわかる。でも、歴史的に見ると、S&P500は何度も大きな下落を乗り越えてきた。事実を並べておくね。
| 暴落イベント | 最大下落率 | 下落期間 | 回復までの期間 |
|---|---|---|---|
| リーマンショック(2008年) | ▲56.8% | 約17か月 | 約4〜5年 |
| コロナショック(2020年) | ▲33.9% | 約1か月 | 約5〜6か月 |
| ITバブル崩壊(2000〜02年) | ▲49.1% | 約30か月 | 約7年 |
| 今回(2026年6月時点) | ▲2.6%(週次) | 継続中 | — |
リーマンショックのときは56.8%の暴落で、回復まで約5年かかった。コロナショックは33.9%の急落だったが、わずか5〜6か月で回復した。原因や経済への影響度によって回復の速さは全然違う。
今回の週次2.59%という下落は、歴史的な暴落と比べると、まだ入口にも立っていない水準だ。もちろんこれから深くなる可能性もゼロではないけど、今の段階でパニックになる必要はないよ。
過去を振り返って言えることは一つ。「長期で持ち続けた人は、全員ではないが、多くの場合で報われてきた」ということ。逆に、暴落のたびに売ってしまった人は、回復の恩恵を受け損ねた。
積立投資は「暴落時こそ強い」という事実
積立NISAのような定額積立投資には、「ドルコスト平均法」という効果がある。難しい言葉だけど、仕組みはシンプルだよ。
毎月一定額(たとえば3万円)を積み立てていると、価格が高いときは少ししか買えないが、価格が下がったときはより多く買える。つまり、下落は「安くたくさん仕込めるチャンス」になる。
具体例で考えてみよう。
| 月 | 基準価額 | 積立額 | 購入口数 |
|---|---|---|---|
| 1月(高値) | 20,000円 | 30,000円 | 1.5口 |
| 2月(下落) | 16,000円 | 30,000円 | 1.875口 |
| 3月(さらに下落) | 14,000円 | 30,000円 | 2.143口 |
| 4月(回復) | 18,000円 | 30,000円 | 1.667口 |
下落した2〜3月に多く口数を買えているおかげで、4月に回復した時点での評価額は、ずっと高値で買い続けた場合より有利になる。一括投資では味わえない、積立ならではのメリットだよ。
だから、下落したからといって積立をやめることが一番もったいない選択になることが多い。「安く買える月」をみすみす逃すことになるから。
積立NISAをしている人に、伝えたいこと
ここからは、自分の話をさせてほしい。
正直に言う。今回の下落を見て「怖いな」と感じた人、それは当然の感覚だと思う。自分の資産が目に見えて減るのが怖くない人なんていない。怖いのは、あなただけじゃない。
ただ、その「怖い」という感情が出てきたとき、一つだけ考えてみてほしいことがあります。
目先の下落が気になって仕方ないなら、それは自分の許容範囲を超えた投資をしているサインかもしれない。
積立NISAは長期・分散・積立を前提にした制度で、数年〜数十年という長い時間軸で見れば、途中の下落は「安く買える期間」でもある。でも、毎日基準価額を確認して胃が痛くなるなら、今の投資額や投資比率が自分のリスク許容度に合っていないサインだよ。暴落のたびにビクビクするよりも、「これくらいなら揺れても大丈夫」という範囲に投資を調整する方が、長く続けられる。
この機会に、一度見直してみてほしい。「もし資産が50%下落しても、10年持ち続けられるか?」と自問してみること。答えがNoなら、積立額を減らすか、リスクの低い配分に変えることも立派な判断だ。投資は我慢比べじゃないから。
暴落を煽る声に惑わされないために
こういう下落があるたびに、SNSには「いよいよ暴落が来た」「NISAは今すぐやめろ」「俺は予測していた」という声が一気に増える。毎回そうだよ。
でも、未来の相場は誰にも読めない。プロのアナリストも、著名な投資家も、FRBの議長でさえも、明日の株価を正確に当てることはできない。当てた人がいたとしても、それは運だ。「暴落する」と言い続けていれば、いつかは当たる。でも、その間ずっと現金で持ち続けた機会損失は誰も補償してくれない。
見えないものを見ようとするのは、しんどいだけだよ。余計な情報に振り回されて、長期投資の軸がブレる方がよほどリスクが高い。相場を予言するコンテンツは、不安を煽った方が注目を集めやすいというシンプルな事情もある。そこに乗っかる必要はない。
具体的にやってほしい2つのこと
「じゃあどうすればいいの?」という人に、実際にやってほしいことを2つだけ伝えるね。
① 証券口座のアプリを開くのをやめる
目先の上がり下がりが気になって仕方ない人は、まず証券口座を見る習慣をやめてみてほしい。毎日チェックしても、積立NISAで長期投資をしている人にとってやることは何もない。見るたびに数字が気になって、感情が揺れて、「売った方がいいか」「やめた方がいいか」という考えが浮かんでくる。それが一番危ない。
「月に一回だけ確認する」「半年に一回だけリバランスを見る」くらいで十分。積立は自動でされているから、見なくても何も困らないよ。
② SNS・YouTubeの「暴落煽り」系の発信と距離を置く
「暴落くる」「NISAは終わり」「今すぐ売れ」——こういうタイトルのコンテンツは、アルゴリズム的に伸びやすい。不安を刺激するコンテンツほどクリックされるから、作る側もそれを狙っている。あなたが見るたびに、そのコンテンツはさらに拡散される。
フォローをやめる、ミュートする、サムネイルを見ても開かない。それだけで、余計なノイズがかなり減るよ。情報は選ぶものであって、流れてくるものを全部受け取る必要はない。自分の投資判断に必要な情報だけを取りに行く習慣を作ることが、長く続ける上でとても大事だと思ってる。
このブログで約束していること
このブログは、事実ベースで情報を発信し続けることを大切にします。
相場の予測はしない。「これを買えば儲かる」も言わない。ただ、「今何が起きているのか」「なぜそうなっているのか」をできるだけ正確に伝えることに徹します。
不安になったとき、ここに来てほしい。煽られたとき、ここに来てほしい。感情が揺れたとき、まず事実を確認して、それから判断してほしい。これからも事実ベースで発信し続けるので。
今回の下落で「怖い」と感じたなら、その感情はむしろ大切にしてほしい。それはあなたが真剣に資産と向き合っている証だから。ただ、その怖さをコントロールするのは感情じゃなくて「仕組み」だよ。自動積立、長期保有、分散投資——この仕組みを作っておけば、怖さが来るたびに自分で判断しなくて済む。これからも一緒に、長く投資を続けていこう。
まとめ
- 6月5日(米時間)S&P500は前日比2.64%安・週次2.59%安。8か月ぶりの大幅下落
- 主因は5月雇用統計の大幅超え(+17.2万人 vs 予想+8.5万人)によるFRB利上げ観測の急浮上
- 中東・原油高(WTI原油90ドル超)もインフレ懸念を後押し
- S&P500の予想PERは20.9倍で割高感はなし。景気後退の兆候もない
- 次の注目は6月10日の5月CPI発表
- 目先の下落が怖いなら、許容範囲を超えた投資をしていないか見直すチャンス
- 未来の相場は誰も読めない。見えないものを見ようとしないこと
- 怖いのはあなただけじゃない。事実ベースの情報で一緒に向き合っていこう
参考文献
- IG証券「アメリカ株、雇用統計過熱でショック S&P500急落 下落長期化見通しも」(2026年6月6日)
- Business Insider Japan「S&P500・オルカン 最新情報。4日は反転下落」(2026年6月4日)
- Yahoo!ファイナンス「米国市況:株は大幅安、強い雇用統計で利上げ観測」
航路を守って淡々と!
さいならーーーーー
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。

コメント