2026年6月現在、投資のニュースが少し騒がしくなっています。鳴り物入りで上場したSpaceX(スペースX)の株が数日で約2割下落し、さらにS&P500も半導体株を中心に下落しました。SNSでは「暴落だ」「半導体オワコン」といった声も見かけます。
積立NISAをしている人ほど、「自分の資産は大丈夫?」「今のうちに売った方がいい?」と不安になったかもしれません。結論から先に言います。インデックスで長期積立をしている人がやるべきことは、何もしないこと。淡々と積立を続ける——つまり「航路を守る」ことです。
この記事では、SpaceXとS&P500(半導体)で何が起きたのかを正確に整理し、なぜ慌てなくていいのか、積立NISA勢が今こそ意識したい考え方を解説します。
SpaceX株に何が起きた?数日で約2割下落
まずSpaceXです。SpaceX(ティッカー:SPCX)は2026年6月12日に135ドルで鳴り物入りの上場を果たし、世界最大級のIPOとして注目を集めました。
その後の値動きが激しいものでした。6月16日には史上最高値の225ドル台まで急騰したものの、そこから一転して急落。6月22日の終値は154ドル台と上場来の安値水準まで下げ、ピークからの数日で約2割(3営業日で約23%)下落しました。Bloombergによると、この間に6,000億ドル超の時価総額が失われています。翌6月23日は156ドル台へ小反発しました。
下落の主な理由は、次のようなものです。上場直後の熱狂による利益確定売り。PSR(株価売上高倍率)が100倍超という割高感への警戒。初の社債(シニア無担保債)発行による資金負担への不安。そして、Starship(次世代ロケット)やAI関連への期待が過熱しすぎた反動です。
ここで大事なのは、業績が急に悪化したわけではないということ。「将来の期待」を株価が先に織り込みすぎて、それが少し冷めた、という値動きです。新規上場(IPO)銘柄や話題のテーマ株では、よくあるパターンです。
S&P500・半導体株の下落の原因
もう一つが、S&P500・半導体株の下落です。6月下旬、S&P500は約1.4%、ナスダックは約2.2%下落し、特に半導体株が大きく売られました。エヌビディアが約3%、マイクロンが約11%、TSMCが約5%下げるなど、AI・半導体関連が軒並み下落しました。
下旬の下落の直接の引き金になったのは、主に次の点です。ひとつは、韓国(KOSPI)など半導体ウェイトの高いアジア市場の急落。もうひとつは、米国の利上げ観測(金利が上がると、株価が割高な水準まで買われていたハイテク・半導体には逆風になります)。そこに、これまで買われすぎていた半導体・AIからの資金の引き上げ(ローテーション)が重なりました。
さらに地合いとしては、6月上旬にもブロードコムのAI関連売上のガイダンスが市場予想を下回り(見通し約160億ドルに対し市場予想は約172億ドル)、半導体株が大きく下落していました。「AIブームの成長は本当に続くのか」という警戒が、6月を通じてくすぶっていた、という流れです。
これも、半導体産業そのものが終わったわけではなく、「AIブームへの期待が高すぎた反動」という側面が大きい下げです。
実はこの2つは「同じ話」
SpaceXとS&P500の半導体——一見バラバラな話ですが、根っこは同じです。どちらも、「将来への大きな期待で買われ、過熱したものが、いったん調整した」という出来事です。
宇宙ビジネスもAI半導体も、長期的には成長が期待される分野です。でも、期待が先に株価へ織り込まれると、ちょっとした失望や利益確定で大きく下げます。話題のテーマ株・個別株は、上がるときも速いが、下げるときも速い。これがいちばんの特徴です。
逆に言えば、こうした派手な値動きは、特定の銘柄やテーマに集中投資している人ほど大きく食らうということでもあります。
積立NISAをやっている人に伝えたいこと:「航路を守れ」
ここからが本題です。インデックスで積立NISAをしている人に、いちばん伝えたいのはこの言葉です。
「航路を守れ(Stay the Course)」。
これは、世界最大級の運用会社バンガードの創業者ジョン・ボーグルが繰り返し説いた、長期投資の鉄則です。相場が荒れても、決めた方針(積立)を変えずに続けよ、という意味です。なぜインデックス積立勢が慌てなくていいのか、理由を整理します。
理由①:オルカンやS&P500は、すでに半導体も含んでいる。 S&P500には半導体大手も含まれますし、オルカン(全世界株式)はさらに広く分散しています。一部の半導体株が下げても、他の業種がカバーします。SpaceXのような個別の派手な値動きに、あなたの資産が丸ごと振り回されることはありません。
理由②:下落は「安く買えるチャンス」でもある。 積立は、価格が下がったときには同じ金額でより多く買えます(ドルコスト平均法)。下げ相場で積立をやめてしまうと、この「安く仕込む」機会を逃します。もちろん、下落が長期化してすぐには戻らない可能性もありますが、それでも「積立をやめない」こと自体が、長期で見れば効いてきます。
理由③:狼狽売りが、長期では最大の損失になりやすい。 下落に驚いて売ると、その時点で損が確定し、その後の回復の恩恵も受けられません。過去の暴落も、結局は時間をかけて回復してきました(急落時に伝えたいことも参考に)。
理由④:そもそもインデックス長期積立は、こういう局面を織り込んだ戦略。 短期の上下は「想定内」です。10年・20年の単位で見れば、途中の下落は小さな揺れに過ぎないことがほとんどです。地政学リスクで相場が揺れたときも考え方は同じで、こちらの記事でも「気にしなくていい理由」を解説しています。
理由⑤:話題の成長企業は、いずれインデックスに組み込まれていく。 SpaceXのような大型の上場企業も、今後インデックスの組み入れ基準(時価総額や流動性、収益性など)を満たせば、S&P500やオルカン(全世界株式)といった指数に組み込まれていく可能性があります(くわしくはS&P500のルール変更の解説をどうぞ)。そうなれば、わざわざ個別株で当てにいかなくても、インデックスを積み立てているだけで、成長企業を自然に少しずつ持つことになります。 「乗り遅れたくない」と焦って個別株を買う必要はない、というわけです(※S&P500には黒字の継続などの要件があり、新規上場の直後は満たさないことも多く、組み入れの有無や時期は指数のルール次第で確定したものではありません)。
やるべきことは、ニュースに反応して売買することではなく、設定した積立をそのまま続けること。航路を守る、それだけです。
ヒロの考え:インデックス一本で、淡々と
私(ヒロ)は、S&P500やオルカンのインデックス積立だけで、SpaceXのような個別株や半導体の個別銘柄は持っていません。だから今回のニュースでも、やったことは「何もしない」です。
正直、SpaceXが上場した時は「ちょっと買ってみようかな」と頭をよぎりました。でも、こういう派手な値動きを見ると、個別株に全力を入れていなくてよかった、と改めて思います。私にとっての投資は、当てにいくゲームではなく、仕組みで淡々と積み上げるもの。だから相場が荒れた日ほど、スマホを開かず、いつも通り過ごすようにしています。何を積み立てればいいか迷う人は、積立NISAで何を買えばいいかもあわせてどうぞ。
まとめ
最後に整理します。
- SpaceX株は上場後に急騰→数日で約2割下落。原因はバリュエーション警戒・社債発行・期待過熱の反動で、業績悪化ではない
- S&P500・半導体株も6月下旬に下落。アジア市場安・米利上げ観測・AIからの資金ローテーションが主因(上旬にはブロードコムのガイダンス失望もあった)
- どちらも「期待が先行して過熱したものの調整」で、根っこは同じ。テーマ株・個別株は値動きが激しい
- インデックスで積立NISAをしている人がやるべきは「航路を守る」こと。オルカン・S&P500は分散が効き、下落は安く買えるチャンス、狼狽売りこそ最大のリスク
- SpaceXのような成長企業も、いずれ基準を満たせば指数に組み込まれていく可能性がある。個別株で焦って追う必要はない
- 私はインデックス一本で、こういう日も「何もしない」を貫いている
派手なニュースほど、心は揺れます。でも、長期の積立投資にとっていちばん怖いのは、暴落そのものより「驚いて途中でやめてしまうこと」です。今こそ、決めた航路を守っていきましょう。
参考文献
- Bloomberg「スペースX株が3営業日続落、時価総額6000億ドル超消失」 https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-06-22/TH1V3YKK3NYA00
- 日本経済新聞「スペースX株、一時上場初値下回る」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23BW90T20C26A6000000/
- TheStreet「Stock Market Today (June 23, 2026)」 https://www.thestreet.com/stock-market-today/…june-23-2026
※株価・市況は2026年6月時点のものです。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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