金利のある世界に入り、いま静かに注目を集めているのが「個人向け国債」です。
「元本割れがない」「金利上昇に強い」——そう聞くと万能に思えますが、正しく理解しておくべき”条件”もあります。この記事では、個人向け国債の仕組みを初心者向けにやさしく整理し、なぜ金利上昇に強いのか、「元本割れなし」はどこまで本当か、そして最後に私自身がやるのかどうかまで、正直にお話しします。
📝 この記事でわかること
- 個人向け国債の仕組み(3タイプ・最低保証・1万円から)
- なぜ「金利上昇に強い」のか(変動10年)
- 「元本割れなし」はどこまで本当か(中途換金の注意)
- メリット・デメリットと、私がやるかどうか
そもそも「個人向け国債」とは?
個人向け国債は、その名のとおり国(日本国)が個人向けに発行する債券。つまり、私たちが国にお金を貸して、利子を受け取るしくみです。特徴はこの5つ。
- 1万円から買える(毎月発行)
- 国が発行するので信用力が高く、満期まで持てば元本割れなし
- 最低金利 年0.05%が保証(どんなに金利が下がってもゼロにはならない)
- 3つのタイプから選べる(下の表)
- 銀行・証券会社の窓口やネットで購入できる
【図1】個人向け国債 3つのタイプ
金利は2026年8月募集の初回・税引前の目安(毎月更新)
| タイプ | 金利 | 見直し | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 変動10年 | 約1.87% | 半年ごと | 今後の金利上昇に備えたい |
| 固定5年 | 約2.06% | 固定 | 今の金利で確定したい |
| 固定3年 | 募集ごと | 固定 | 短めで固定したい |
※共通:1万円から・国が発行・満期保有で元本割れなし・最低0.05%保証。
いま(2026年8月募集)は、変動10年で約1.87%、固定5年で約2.06%(いずれも税引前・初回)と、ここ数年でいちばん高い水準まで上がってきました。1年前の変動10年は約0.97%でしたから、この1年でほぼ2倍です。
なぜ「金利上昇に強い」の?
カギは「変動10年」です。
【図2】なぜ変動10年は金利上昇に強い?
「これから上がりそう」なら変動、「今で固定したい」なら固定
変動10年は、半年ごとに適用金利が見直されるしくみ。世の中の金利が上がれば、それに合わせて受け取る利子も上がっていきます。だから、いまのような利上げ局面では有利なのです(→ 金利のある世界の全体像はこちら)。
一方、固定5年・固定3年は、買ったときの金利がずっと続きます。今後さらに金利が上がっても増えませんが、逆に金利が下がっても目減りしないという安心感があります。「これから上がりそう」と思うなら変動、「今の金利で固定したい」なら固定、という選び方です。
「元本割れなし」はどこまで本当?
ここが最重要ポイント。「元本割れなし」は”満期まで持てば”の話です。
【図3】「元本割れなし」の”条件”
「当面使う予定のないお金」で持つのが基本
個人向け国債は発行から1年間は換金できません。1年を過ぎれば途中で換金できますが、その際は直近2回分(1年ぶん)の利子相当額(税引後)が差し引かれます。これは”元本が減る”のではなく、”もらった利子の一部を返す”イメージ。元本そのものは戻ってきますが、直前の利子はほぼ取り消しになる、と覚えておきましょう。
つまり「元本割れなし=いつでも自由に引き出せて損しない」ではありません。当面使う予定のないお金で持つのが基本です。
メリットとデメリットの整理
【図4】メリット・デメリット
| メリット ・国の信用で元本が安全 ・最低0.05%保証 ・変動10年は金利上昇に追随 ・1万円から・預金よりずっと有利 |
デメリット ・大きくは増えない ・1年間は換金不可 ・インフレに負けることも ・投資(NISA)ほどは伸びない |
メリットは、なんといっても安全性。国の信用力で元本が守られ、最低0.05%は保証。変動10年なら金利上昇にもついていけます。普通預金(年0.001%前後)に眠らせるより、はるかに有利です。
デメリットは、大きくは増えないこと。株式やNISAでの投資のような成長は期待できません。また1年間は換金できず、インフレが利率を上回れば実質的な価値は目減りします。あくまで「増やす」ではなく「守りながら少し働かせる」ための商品です。
預金・定期預金と、どう違う?
「それなら銀行の定期預金でいいのでは?」と思うかもしれません。守りの置き場所として代表的な3つを比べてみましょう。
【図5】普通預金・ネット定期・個人向け国債(変動10年)
| 項目 | 普通預金 | ネット定期 | 変動10年 |
|---|---|---|---|
| 金利の目安 | 〜0.2%前後 | 0.3〜1%(多くは固定) | 約1.87% |
| 元本の安全 | 預金保険1,000万まで | 預金保険1,000万まで | 国の信用(上限なし) |
| 金利上昇への対応 | 弱い | 固定は対応しにくい | 半年ごと見直しで強い |
| 引き出し | いつでも可 | 原則満期まで | 1年後から(利子差引) |
※金利は時期・商品で変動。目安として比較したものです。
普通預金は自由に出し入れできる反面、金利はごくわずか。ネット銀行の定期預金も金利が上がってきましたが、多くは固定で、預入期間中に金利は変わりません。対して個人向け国債(変動10年)は半年ごとに金利が見直されるため、これからの利上げにもついていけます。さらに安全性の面でも、預金は1金融機関あたり元本1,000万円までの保護(預金保険)なのに対し、個人向け国債は国そのものの信用なので、金額の上限なく元本が守られるのも見逃せない違いです。
こんな人に向いている・向いていない
【図6】向いている人・向いていない人
| 向いている人 ・預金に守り資金が眠っている ・数年は使う予定がない ・元本は減らしたくないが預金よりは増やしたい ・今後の金利上昇に備えたい |
向いていない人 ・1年以内に使うかもしれない ・毎月の生活費・すぐ使うお金 ・積極的に増やしたい(→NISA) ・こまめに出し入れしたい |
で、自分はやるの?——私の結論
正直にいえば、「守りのお金の一部」なら、私はアリだと思っています。
わが家の基本方針は変わりません。増やす主役はNISA(→ 新NISAの始め方はこちら)。株式インデックスへの積立で、長期の成長を狙う。ここは今後も続けます。
そのうえで、「数年内に使う予定はないけれど、投資に回すのは怖いお金」——たとえば生活防衛資金の一部などは、普通預金(ほぼ0%)に置きっぱなしにするより、変動10年(約1.87%)に移すのは合理的だと感じます。金利上昇にもついていけますし、最悪1年我慢すれば元本で引き出せる安心感もあります。
ただし、すぐ使うお金・毎月の生活費は、流動性を優先して預金のまま。国債に入れるのは”当面動かさない守りの現金の一部”だけ、というのが私のスタンスです。「増やすはNISA、守りは国債+預金」——この役割分担で考えると、個人向け国債は選択肢として十分アリだと思います。
買い方はかんたん(3ステップ)
「難しそう」と思われがちですが、手続きはとてもシンプルです。
【図7】買い方の3ステップ
証券会社によっては、購入時にキャンペーン(現金プレゼント等)を行っていることもあります。条件はよく確認したうえで、うまく活用するとさらにおトクです。
まとめ
- 個人向け国債は1万円から・国が発行・満期まで持てば元本割れなし・最低0.05%保証
- 変動10年は半年ごとに金利見直し=金利上昇に強い(2026年8月で約1.87%)。固定はその時の金利で固定
- 「元本割れなし」は満期保有が前提。1年間は換金不可、途中換金は直近2回分の利子相当が差し引き
- 増やす主役はNISA、守りのお金の置き場所として国債+預金——この役割分担で考える
- わが家は「当面使わない守りの現金の一部」なら変動10年もアリ、という結論
派手さはありませんが、「金利のある世界」で守りのお金にもきちんと働いてもらう——その選択肢として、知っておいて損はありません。
参考文献・出典
- 財務省「個人向け国債」窓口・商品説明・中途換金Q&A https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/
- 各社の個人向け国債 金利情報(2026年8月募集:変動10年 約1.87%、固定5年 約2.06% 等)
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入を勧誘するものではありません。適用金利は募集回ごとに変わり、記載は2026年8月時点の目安です。中途換金の条件や税の取り扱いを含め、最新かつ正確な内容は財務省・販売金融機関の公式情報でご確認ください。投資・資産運用の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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