【第2回】給料が消えても止まらない──ギャンブルが日常を壊していった

ギャンブル

前回は、コロナ禍と転職によるストレスをきっかけに始めた競馬が、
気づかぬうちに生活の中心になっていった過程をお話ししました。

最初は“100円の遊び”だったはずが、スマホで簡単に賭けられる気軽さ、
そして最初の勝利の快感に取り憑かれ、やがて地方競馬・現地観戦・平日競馬へとのめり込んでいく。

デート中にもこっそり馬券を買うようになりながらも、
「自分は依存症ではない」と思い込んでいました。

今回は、その後どうなったのか──
その先に待っていた日常の崩壊と、1日で給料を失ったリアルな記録をお話しします。

給料日=即PATのチャージ日になった

競馬にハマるようになってから、給料日が来ると真っ先にネット競馬にチャージするようになりました。「今度こそ当ててやる」──その気持ちが毎月の始まりを支配していたんです。

スマホから数タップで即入金できる(しかも2回までなら手数料が無料)。
負けても「次で取り返せる」と思い込んで、残高がゼロになるまでやめられない
月末にはお金が足りず、生活費まで手を出すようになっていました。
消費者金融までは手を出さなかったのですが今思えば一歩手前までいたと思います。

即PATをやめても、また再加入の繰り返し

「さすがにこのままではまずい」と思い、即PATを解約したことも何度もあります。
自分でも「これでようやくやめられる」と思っていました。

でも、週末が近づくとそわそわしてきて、土曜の朝にはまた再登録。
やめたくても、手が勝手に動いてしまうような感覚。
やめたいのにやめられない──まさに悪循環でした。
特に経験がある人なら尚更わかると思いますがどんなに競馬やその他のギャンブルで負けて自己嫌悪になっても翌週になったら全て忘れてしまうんですよね

「勝っても嬉しくない、負けたら地獄」

最初はあんなに楽しかった“的中”も、いつの間にか「当然の通過点」に変わっていました。

勝っても嬉しくない。ただ、次に賭けるお金ができただけ。

そして負ければ、競馬が終わった夜からイライラ、自己嫌悪、そしてスマホを握って翌週のオッズを眺め続ける。気づけば、感情までギャンブルに支配されていました。
競馬をやった人ならわかる話ですが、スマホのサイトだけでなく土日の12:00〜BS11で競馬中継をやってたり、AM1422kHzで競馬実況があったり、有料ですがグリーンチャンネルがあったりと、どこにいても賭けることができる環境があります。

ギャンブルが「時間」も「感情」も全て奪っていった

  • 休日は全レースを見て終わる
  • 通勤電車では出馬表チェック
  • 絶対勝つとは言い切れない有料予想に縋る日々
  • SNSのタイムラインは競馬アカばかり
  • 寝る直前までオッズと予想を眺める

生活の中心が「競馬」になってしまっていたんです。
恋人、仕事、家族、友人。それよりもレースの結果が大事になっていました。
競馬で当たらない週が続くと、他のギャンブルに“逃げる”ようになりました。
特に多かったのが競艇(ボートレース)です。

「競馬よりも当たりやすい」「6艇しかいないから勝てる」
そんな都合のいい理由をつけて、今度は競艇にシフトしていく。

実際には、当たりやすいどころか、感情の起伏はさらに激しくなり、賭ける金額も増えていくばかり。
“勝つためにやっている”はずなのに、負け続けても賭けることをやめられない──
それはもう、ギャンブルそのものが目的になっていたのだと思います。

「やめたい」のに「やめられない」

「これで最後にしよう」「さすがにもうやばい」「この馬は新馬戦から応援してきた馬だから大丈夫」
何度も何度もそう思ったし、言い聞かせたこともあります。

でも、当てた時の快感が頭から離れない。
脳が覚えてるんですよね。勝った時のあの感覚を、、、、、
そして負けたら、「次で取り返せる」──この思考が止まらない。
理性があっても、感情が制御できない。

ギャンブル依存の恐ろしさを、身をもって思い知るようになっていきました。

1日で給料の全てを失った日

そんなギャンブル漬けのある日、給料が入った当日に、全額を賭けてしまったことがありました。

朝から晩までスマホを握りしめ、レースに次ぐレース。
当たらないことに焦り、金額をどんどん上げていった結果──

実際に1日賭けて負けた額

1日で27万5,600円を使い、返ってきたのは6,600円だけ。
−269,000円。もちろんこれ以上負けた時もありますがこの時に私の何かが変わりました。

絶望というより、「何やってるんだろう」と自分に呆れた。
財布にも口座にあった金額もこのままでは全部競馬でなくなってしまう。
でも、なぜか涙は出なかった。心が完全に麻痺していたんだと思います。

人間関係も、自分も壊れていった

お金がないのに、会社の飲み会に誘われても「用事がある」と嘘をついて断っていました。
「今月ピンチで…」なんて言えなかった。でも本当は、競馬で全部使ってしまっていたんです。

さらに、当時付き合っていた彼女(今の妻)にも、イライラして横柄な態度を取ってしまうことがありました。何かちょっと気に障ることがあると怒ったり、強い言い方をしてしまう。

今思えば、自分でもコントロールできないストレスと罪悪感が心の中に溜まっていて、
それを一番近くにいる人にぶつけてしまっていたんだと思います。

ちょっとしたことにイライラし、“許せない自分”になっていた。
ギャンブルはお金だけじゃなくて、人との関係や、自分の人間性まで壊していったんだと今ならはっきりわかります。

絶望のどん底で気づいたこと

財布にも、口座にも、心にも何も残っていなかった。
自分が自分じゃなくなっていく感覚。
本当はただ普通に暮らしたいだけなのに、もうやめ方がわからない。

でも──そんな絶望の中でも、気づいたことがあるんです。

今ならまだ、戻れるかもしれない。あの日の自分が踏み出した「ある行動」。
それが、私にとってのギャンブル依存からの第一歩でした。

次回、【第3回】やめると決めた日──依存から抜け出した僕の今と伝えたいこと

さいならーーーーーーーーーーーーーーー

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